「ええ。わたしは数字に強いから、合ってると思うんですよね」


「東京に出たいとか思わないの?」


「全然。どうしてですか?」


「美月、綺麗だし、モデルとか女優になれるんじゃない?」


「うーん……憧れないって言ったら嘘になりますけど、わたしはこの町を出たくないんです。ほら、他所には龍がいないでしょ?」


「そうだった」

わたしは額に手をやって言った。

「あんたが龍ヲタクだっていうの忘れてた」


『龍』とは、この町に棲息する翼のある爬虫類の事で、龍神様の使いだと言われている。

美月と大輔くんは、龍を競わせる伝統競技『闘龍』の競技者なのだ。


「やだなあ。三田先輩も同じじゃないですかぁ」


わたしも闘龍はやるけどさ

自宅で龍を人工孵化させるあんたには、負けるわよ。


でも


みんな意外と将来の事、考えてるんだな……