「ほとんど詐欺じゃないのか?」


「何とでも言え。なり振りなんてかまっていられるか」

圭吾さんはそう言うと、わたしの頭のてっぺんにキスをした。

「志鶴のためなら何だってする」


へっ? わたし?

今の、わたしの話だったの?

詐欺って……わたし、何か騙されてる?


「あ――――っ!!」


突然大きな声がした。


振り向くと、アイちゃんがあんぐりと口を開けて圭吾さんを見ていた。

その後には、松子さんと他の子供達。


「お、お姉さんの彼氏って、その人?!」


「そうよ」


「その人、羽竜家の一番偉い人だよ?」


「知ってるわ」

わたしはニッコリと笑った。


「すごっ! お姉さん、見かけによらず度胸あるんだね。飼うのドーベルマンでも平気でいけるわ」