「具合が悪くないなら、もう一度中を見に行こう。君が撫でていた犬を僕に見せてくれ」


ホント? いいの?


「おいで」


わたしは、差し出された腕の中に飛び込んだ。


よかった。

あの子を見たら、きっと圭吾さんだって気に入るわ。



圭吾さんと手を繋いで、もう一度ペットシェルターの中に入った。


また大きな犬達が一斉に吠えて――

あれ?


辺りは、シンと静まり返った。


何??


犬達は柵の奥でしっぽを丸めて小さくなっている。

わたしにしっぽを振ってくれたラブラドールでさえ、地べたに伏せていた。


「さっきはものすごく吠えていたのに……」


「僕が怖いんだよ」

圭吾さんがボソッと言った。