でも、平気。

わたしは圭吾さんの『未来』だから。


「ねぇ、そろそろ片岡先生を助けに行った方がいいんじゃない?」

悟くんが向こうを見渡して言った。


あ、そうだ

――って、美月も大輔くんも、ケージから龍を出してるし!


桜の木の近くで、二頭の赤龍が羽を広げている。


美月が腕を振ると、赤龍は美月の肩から空中に向かって飛び立った。

続いて、大輔くんの赤龍が後を追う。

美月の龍――ベニは、上空を優雅に旋回した後、急降下して片岡先生の肩に止まった。


う、うわぁ! 初めての人に、いきなりそれはハードル高いでしょ!


おっかなびっくり差し出した片岡先生の手に、ベニが顔を擦り付けた。


「おや、助けはいらないようですね」

司先生が面白がるように言った。


ホントだ……


片岡先生は、声を上げて笑っていた。