「あ、でも松子さんに了解もらわなきゃ」


あそこは松子さんの土地だもの。


「彼女はいいと言うと思うよ。それに、そういう事は僕が手配するから気にしなくていい」


「そう? じゃあ、わたしは人を集めるね。誰を呼んでもいい?」


「まるで子供の誕生日パーティーだな」

圭吾さんは苦笑した。

「好きにしなさい」


『子供の』って言葉にちょっと引っかかったけど、まあいいわ。


「土曜日か日曜日――要さん、どっちがいい?」


「えっ、俺?」


「そうよ。要さんがいなきゃダメよ。だって、お友達なんでしょ? その桜と」


要さんは一瞬絶句して、右手の指で目頭を押さえた。

それから正座して、わたしに深々と頭を下げた。


「志鶴ちゃん、ありがとう。本当にありがとう」


その声は微かに震え、泣いているようだった。