圭吾さんがハンカチの上に、拾い上げたガラス玉を乗せながら言った。

「壊れても壊れても、どうしても志鶴を追いたかったようだ。志鶴の力に惹かれたんだろうが、どうするつもりだったのかさっぱり分からない」


要さんはそっとガラス玉を撫でた。


「こいつは勘違いしたんだよ」


勘違いって?


「志鶴ちゃんに惹かれてフラフラついて来て、何かの弾みで志鶴ちゃんの持つ力に触れたんだ。その時、命の一部が欠けたのを、若返ったのだと思い込んでしまったらしい」


身が軽くなって、若返った気がして、それでわたしの周りをウロウロしてたのだと、要さんは言った。


「わたしには力なんてないのに」


要さんは首を横に振った。


「君は身の内に光り輝く力を持っているよ。弱れば、そこから光に触れられる。だから怪我をさせた――そう言っている」


「若返りたくて?」


「いや、もう一度花を咲かせたくて――」

圭吾さんが、ガラス玉を見つめて言った。


自分がもうすぐ枯れてしまうのは、分かっていた。

だからこそ、桜は願ったのだと言う。