悟くんの口から、緑色の液体がゴボッと音をたてて流れ出した。

それから悟くんは、激しく咳き込んだ。


生きてる!


「脅かすなよ、馬鹿野郎。死んだかと思ったぜ」

要さんが大きく息をついて、床に座り込んだ。


「要兄貴でもビビる事あんの?」

しわがれた声で、悟くんが茶化した。


「悟、大丈夫か?」

圭吾さんが声をかけた。


「お蔭さまで」


「では、片をつけてしまうか」


圭吾さんが岩の裂け目に片手をあてた。


「やっちゃって」


「綿津見なる竜城(たつき)の神より、百年(ももとせ)なる咲良(さくら)の比女に申す」

圭吾さんの指先から光が立ち上った。

「これらは吾(あ)が裔(すえ)、こは吾が地なり。伏して下がれよ」


光は龍のようにうねりながら、岩の周りをぐるりと巡った。

裂け目からパキパキと音がする。

程なく、岩は砂山ででもあったかのように、サラサラと崩れ落ちていった。

その跡には、薄紅色のガラス玉のような物が残っていた。