「えーと……わたし、親戚の家にいるの。ペットを飼ってもいいとは言われてるわ」


「要ちゃん、やっぱり訳ありの子じゃん」


まあ、訳ありっていえば訳ありだよね。


「お前達の『訳あり』とはタイプが違うぞ」

要さんは女の子の鼻をつまんで笑った。


「あーっ!! アイだけズルイ!」

他の女の子が騒ぐ。

「要ちゃん、あたしもぉ!」


要さん、モテモテじゃん。


「みんなこの近くに住んでいるの?」

わたしは側にいた男の子に聞いた。


「アイは、ピアスしてるあいつな――ここの横に家があったろ? あそこで暮らしてる。松子オババの養女だから。他の二人は隣町の養護施設から来てる。俺も隣町。学校の寮にいるんだ」


「君、高校生だったの?」


「中坊だよ。4月から中3。中高一貫の全寮制の学校なんだ。できれば高校からは清流に編入したいんだけどさ」

男の子はため息をついた。

「親父がOK出さないんだ。親がいいって言えば、松子オババが下宿させてくれるんだけどね」