その時、廊下の方から猫のしっぽを踏ん付けたような『うぎゃっ!』という声がした。
わたし達は顔を見合わせた。
「この家、猫もいたっけ?」
「いないわよ」
ペロが吠えた。
『だ……誰かぁ……』
和子さん?!
悟くんが引き戸を開けて、廊下に出た。
わたしも松葉杖をつきながら戸口から顔を出した。
少し離れた先に、和子さんが腰を抜かしたように座り込んでいるのが見えた。
「和子ばあちゃん、どうした?!」
近付いた悟くんの腕に、和子さんは勢いよく縋り付いた。
「さ、さ、悟様……何やら分からぬ影が目の前を通って、あちら側にススーッと……」
和子さんが指差したのは、普段は使っていない棟へと続く廊下だ。
「落ち着いて。何だろうと悪さはしないから」
悟くん、言葉の最後に『たぶん』って小さく聞こえたのは気のせい?
わたし達は顔を見合わせた。
「この家、猫もいたっけ?」
「いないわよ」
ペロが吠えた。
『だ……誰かぁ……』
和子さん?!
悟くんが引き戸を開けて、廊下に出た。
わたしも松葉杖をつきながら戸口から顔を出した。
少し離れた先に、和子さんが腰を抜かしたように座り込んでいるのが見えた。
「和子ばあちゃん、どうした?!」
近付いた悟くんの腕に、和子さんは勢いよく縋り付いた。
「さ、さ、悟様……何やら分からぬ影が目の前を通って、あちら側にススーッと……」
和子さんが指差したのは、普段は使っていない棟へと続く廊下だ。
「落ち着いて。何だろうと悪さはしないから」
悟くん、言葉の最後に『たぶん』って小さく聞こえたのは気のせい?