「仕事柄だな。こんな小さな町にも、家出少女や不良少年はいるんだ。本当に怖い事に巻き込まれる前に、誰かが手を差し延べなきゃね」


「だからお巡りさんになったの?」


「羽竜の仕事に都合がいいってのもあるよ」


「そうかい。あたしゃ、子猫を拾って来るのにちょうどいいからだと思ってたよ」

後ろからハスキーな声がそう言った。


振り向くと、短い白髪をツンツンに立てた白衣姿のお婆さんが、腰に両手をあてて立っていた。


「今日は、また随分と色っぽい子猫を拾って来たもんだね」


「松子さん、その舌は引っ込めてくれ」

要さんが言った。

「この娘(こ)は、本家の圭吾の婚約者だよ」


「噂のお姫様かい? こりゃ驚いた。圭吾にこんな趣味があったとはね」


その『趣味』の中身、聞いていい?


「兄貴の結婚式に来れば会えたのに」


「あたしゃ、めでたい席が苦手なんだよ。葬式の方がよっぽどドラマチックで面白い」


な……なんかジワジワと来る。