「首に縄をつけて引きずって行くわけにもいかないでしょ?」


「君まで、そんな事を言うのか」

圭吾さんは、ため息混じりで言った。

「ところで、優月はどうして病院に? 誰かの見舞い?」


「ううん。ちょっと体調が悪くてお医者様に診ていただいたの」


「どこが悪いの? 司には言ってきた?」

畳み掛けるように圭吾さんが聞く。


心配?

そうだよね、心配するのが当然だよね。

でも、わたしは?

わたしの事、忘れてない?

わたしは圭吾さんの『一番』じゃなかったの?


「司さんには言ってないの。どちらにしろ、たいした事ないんですって」


「それでも今日、話せよ。後から知ったら怒るぞ」


分かってる。

圭吾さんは、優月さんが嫌いで別れたんじゃない。

今でもきっと好き。

もしも優月さんが司先生を選ばなかったら、圭吾さんは優月さんといて、わたしは『可愛い従妹』に過ぎなかっただろう。