「ああ――我ら羽竜一族はフェミニスト揃いなんだ。家を継ぐのは男だけれど、力の源は女性だから」


「力の源って?」


「身を守る霊力ってのは女性の方が強いんだ。子供を宿す身だからね。俺達、野郎は家族とか恋人の髪を身につけて、その霊力を借りる事が多い」


そういえば、前に圭吾さんに髪をあげた事がある。

でも、あの時は……


「じゃあ、わたしは全然力がないんだわ。髪の毛をあげたのに、圭吾さん怪我したもの」


「去年の12月の話かい? 俺はその場にいなかったけど、かなり大変な仕事だったようだよ。うちの大輔が無傷で、圭吾の怪我があの程度ですんだのは、志鶴ちゃんの力があったから――そう考えたら?」


「そうだといいけど……」


「自信を持つ! もしも、そんな力がなくてもどうだって言うんだ? 圭吾は気にしないぞ」


「それは分かってる。でもね、圭吾さんの役に立ちたいとも思うの」


「そこにいるだけで、誰かのためになる事もあるんだよ」


わたしは要さんを見上げた。


「ありがとう。要さんって説得上手ね」


要さんは顔を赤らめて咳ばらいをした。