わたしは要さんの腕にしがみつき、陰に隠れるようにして横向きに歩いた。


「志鶴ちゃん、普通にしたら? 犬にしてみたら、その方が怪しく見えるぞ」


「だって……」


「じゃあ手を繋ごう。俺が犬の側を歩くから。それでどうだい?」


わたしは頷いて、要さんの手に自分の手をすべりこませた。


ゴツゴツした大きな手。


要さんは圭吾さんより背が高いから、手も大きいみたい。


でも、優しい手だわ。

それに、ちっともドキドキしない。


「圭吾には内緒だよ。殺されてしまう」


うん。わたしも部屋から出してもらえないかも。


「要さんも、圭吾さんと同じね」


「どこ? 変なところが?」


「そうじゃなくって」

わたしは笑って言った。

「さっきドアを押さえていてくれたでしょ? 圭吾さんもよくそうする」