アンタのこと、奪ってやろうか?











「つくらねぇよ。」



ときどき聞こえるテレビの音。



それよりずっと小さな声で蓮はそう言った。



「え?なんで?」



「なんでって…、なんでだろうな?」



「えー。教えてよ?」



「はぁ、別に。ただ忘れられないひとがいる、からかな。」



彼の瞳は、
切なすぎた。



“忘れられないひと”



蓮にとって、大切なひと。



「そっか…」