どこかで期待していた。 穂波が幸せでないと言ってくれることを。 そうすれば、俺が彼女を奪う口実にできると思っていた。 幸せにできない男から、奪える、と。 そんな資格もないくせに、穂波が俺に求めるものを知ったときから浮かれていた。 まだ、となりにいられる。 穂波を幸せにできるのは、俺だと勝手に思っていた。 そんな資格もないくせに。