視線は変わらないまま俺の上着の裾を小さな穂波の手がつかんだ。 小さく、震えている。 「喧嘩なんてしたことない。きっと羨ましく思われると思う。……でも、それだけじゃ物足りないって、私ワガママすぎる。」 彼女の溢れる涙を、拭いてしまった。 「こんなに幸せなのに、蓮を求めちゃう。……なんで?」 そっと、抱き締めた。 夜風で冷たくなってしまった穂波の体。 抱き締めて、しまった。