「これから、ちょっと時間あるか?」



涼一を家まで送り届けた俺はその家の玄関先でそう言った。



「え?うん、あるけど。」



涼一の家の鍵をかけおえた穂波。



彼女の輝く瞳が月明かりに照らされて俺を見つめる。



「じゃあちょっと付き合って。浮気、しよ。」



イタズラにそう言った俺。



こんな発言、穂波を困らせるだけ。



そんなことわかってる。



誰よりも、わかってる。



「……いいよ。」



そんな答え、出すなよ…。