記憶を取り戻し、蓮がとなりで笑ってくれる。 それは私にとって奇跡みたいで、まだ信じられない。 「蓮?」 大学の第二図書室。 仕事が休みの日は時々私の大学まで来てくれる。 今日も、夜七時半に蓮が図書室へ来た。 「こんな時間にここで一人は怖いだろ?」 苦笑いを浮かべる蓮は静かに私の座っている隣の席に腰かけた。 確かにこの図書室には人が少なくて朝と夜は無人が多い。 あの、涼一との最後の日もここだった。