アンタのこと、奪ってやろうか?











少し冷たい手が、私の腕を掴むと同時に
フワリと温かい体温に包まれた私。



この落ち着く香り、蓮だ。



苦しいくらい、彼の腕は強い力で抱き締めてくる。



でも、抵抗なんてしない。



する必要がない。



大好きな、大好きな蓮だもん。



「穂波…、ごめん…」



甘く耳元で響く蓮の声。



その声は涙を呑んだような声。



圧し殺すような、声。



「ごめん…」