アンタのこと、奪ってやろうか?











「蓮。」



小さく呟くようなその声は
やっぱりどこか切ない。



「蓮のつくったお酒、すごくおいしい。」



グラスをテーブルに置いて
ジッと彼の瞳を見つめた。



暗い店内で輝いてるその瞳に
吸い込まれたい、
そう思った。



蓮はしばらくだまったまま
私と同じように目と目を合わせたまま
仕事をする手さえ止めていた。



「そりゃ広栄だ。っつか、この酒に酔わねぇお客さん、初めてだよ。」