「蓮は、お前の恋人だよ。」



静かに呟いた。



小さく反応した穂波。



記憶がなくてもやっぱり、彼女は蓮に惹かれていることを実感させられる。



「私…」



揺れる、穂波の瞳。



「蓮と穂波は恋人だった。」



あの日までのこと、あの日のこと、穂波の中から消えた蓮のすべてを、穂波には知る権利がある。



強く、そう思った。