「手ぇ、出した。」 そう呟いた刹那、鈍い痛みが頬を伝う。 鈍い乾いた音も、聞こえた。 「ふざけんなよ!」 町中だということも忘れ俺たちは睨みあっていた。 「三年前、怖じ気づいて俺に穂波を任せたの、お前だろ!?」 地面に飛ばされた俺を見下げるようにそういう涼一。 怒りが、溢れ出ていた。