「穂波を、泣かせた。」 涼一の目をまっすぐに見つめた。 「今までも、二人で何度か会ってる。」 冷えた空気に俺の声も冷めていく。 正直、話したくない。 でも、涼一に穂波を任せる以上、すべて話すべきだ。 そう思った。 「は…?」 涼一のまだよく理解できてなさそうな返事。 でも、そんな中にも怒りが込められているように感じた。 「穂波を、奪おうとした。」 その言葉で彼の表情が変わったことに、気づいた。