アンタのこと、奪ってやろうか?











「いつもの、でいい?」



ワイングラスを真っ白な布巾で拭く彼。



「うん。」



「かしこまりました。」



わざとらしくそういった彼は
無邪気に笑った。



クールな外見とは違って子供らしく笑う彼。



私も小さく笑って
カウンターテーブルに両ひじをついた。



いつもの、とは
このバーでもっとも強いお酒。



彼が作ってくれる
“destiny”と名付けられた
そのお酒。



私のお気に入り。