「穂波…?」 幻聴かと思った。 でも、ちゃんと見える、彼の顔。 紺色の傘を片手に私に駆け寄ってくる。 ねぇ、蓮? 会いたかった。 会いたかったんだよ? 溢れる涙を必死に堪えた。 「なにやってんだよ…」 雨で濡れた私の目にかかった髪をらはらってくれる蓮。 薄暗い秋の夕方はすごく寒くて小さく震えた。 私の冷えきった心と一緒に、あたためてほしい。