「涼一。」 愛しい声が小ホールに響く。 「こんなとこにいたの?」 少し息を切らした穂波は階段を降りてステージに腰かける俺のもとへやってきた。 「探した?ごめんな。」 俺を見上げる彼女の頭に手をのせて軽く撫でる。 ホントはひとりになりたくてこの小ホールへ来た。 でもせっかく穂波が探してくれた。 それだけで一緒にいたくない理由がなくなる。