それからの毎日は、驚くほど楽しかった。
遊紀に負けたくない。
俺に目標が出来たから。
練習をいっぱいやって
必死になって走って
汗だくになって
すごく疲れて
そしたらお腹が減って
夜が眠くて
気持ちいい。
こんなの初めて。
そして、遊紀の存在。
それは、俺にとってすごく大きなものだった。
俺の毎日に色をくれた。
俺の毎日が明るく染まった。
俺の「走る」に意味をくれた。
走ってるときの遊紀は、すごく楽しそう。
俺も、あんな風に走りたい。
走ってるときの遊紀は、鳥。
自由に羽ばたく、美しい鳥。
俺も、あんな風に羽ばたきたい。
できれば、遊紀のとなりで。
できれば、遊紀と一緒に。
「走るって、楽しいな」
「うん。 すごく楽しい!」


