毎日が楽しい。
毎日がキラキラ。
琉威の背中を追いかけて
いつか絶対抜かしてやるから!
毎日そう言って、走って、走って。
私はぐんぐん速くなる。
琉威もどんどん速くなる。
私たちは、風になる。
二人でひとつの、鳥になる。
「やっぱ走るって楽しいな」
琉威は笑顔で私に言う。
「うん。 ずっと走ってたいね」
私も心からそう思う。
走ってるときの、私たちの心はいっこ。
いっこの心で、ずっと、ずっと。
ふたつの風は、果てしなく。
二羽の鳥は、どこまでも。
二人でいつまでも、どこまでも走れる。
…そう、信じてた。
これから私の身には、最悪の不幸が降りかかる。
でも、そんなこと、このときの私にわかるはずない。
私の羽根は、ある日突然、残酷にむしり取られてしまったのだ。


