結局、琉威の記録は陸上部の先輩をも抜く新記録で、余裕の1位だった。
みんなの前で嬉しそうにピースをしてみせる琉威はすごく輝いていて…。
そんな琉威の頭を豪快に撫でて、狩眞先生は
「期待の大型新人が入った」
とすごく喜んでいた。
撫でられて嫌そうに顔をしかめた琉威が抵抗を試みるも、
「やめろって! 髪が崩れる!」
「いいじゃねーか! もっとやれ~」
「ちょ…! 先輩たちも茶化さないでください!」
先輩たちのふざけた声にかき消され、琉威はあっと言う間にみんなの注目の的、
人気者になっていた。
楽しそうなみんな。
琉威はみんなの中心。
あの場所に私は立てない。
やっぱ琉威はすごい。
それにひきかえ私は…
新人の中では琉威に続く2位で、先輩を合わせると3位。
やっぱり追いつくことはできなかった。
「惜しかったなぁ、遊紀!」
琉威が隣に来て、へらへらと笑う。
「…うっさい。 どうせ3位だよ」
悔しくて、私はトゲトゲしい言葉を吐く。
琉威は輝かしいね。 おめでたいね。
なんて、心の中で悪態をつく。
「なんだよ。 そんな落ち込んでんのか?」
そんな私の心情なんて知らない琉威は、なおもへらへらと私の頭を軽く叩く。
「落ち込んでないし」
ぷいっと顔を背けて、私は琉威から距離をとった。
あったかいはずの琉威の手を振り払って。
でもそんな振り払った手も伸ばしたらすぐ届いちゃうような近い距離、なんの意味も成さない。
琉威はすぐ私の手を取って、言った。
「じゃぁ俺のこと見ろ」
「やだ」
「見ろ」
「やだっ」
「見ろ!!」
「…っ!」
怒ったような、琉威の声。
怒鳴る琉威の声に、まわりも静まり返った。
ビクン、と私の肩が反射的に跳ねる。
あぁ、怒らせちゃった。
なんて、冷静に感じる。
…だって、わかってるから。


