大空へ





琉威は、この陸上部の過去最高新記録を叩き出した。


「やったぜぇ!」


ゴールで自分のタイムを聞いて、琉威が無邪気に跳ね上がる姿が見える。



「…結局かなわない…」


俯いて、私は呟く。



ちくしょう。


私が頑張っても、琉威はその3歩前を行くんだ。


私が1歩、追いついても、その分あんたは前進しちゃうんだ。


悔しい。

すっごく悔しい!


けど、なんでだろ。


「……ふふっ…」


なんで私、笑ってんだろ。



悔しい、反面

それ以上に嬉しいのはなんで?



「遊紀~! 見てたか?!」


走り終わった琉威は、なんでかいつもより子供っぽい。


童心に戻ったかのような無邪気な笑顔で、琉威が駆けてきた。



「オレ様最高っ!」


そう言って、ブイサイン。



あぁ。
ほんと好きだよ。

そんなあんたが大好きだよ。




「…見てたよっ!」




私は琉威に負けないくらいの笑顔で、そう言った。


「ったく。 ほんと琉威には敵わない」



隣を飛びたいけど、



「ば~か。 お前には負けねぇ。 ぜってぇ抜かさせねぇ」



あなたは背中しか見せてくれない。


私の前を飛んで、私より前にその先の景色をひとりで見ちゃう。


いつか一緒に見たいなぁ…。