実際スタートしてみたら、私の目なんて役に立たなかった。
「うっわ… すげ…」
「誰…? 新入生じゃん」
「ぶっちぎり…」
校庭の隅でお喋りしていた人たちが一斉に琉威に釘付けになる。
口々に、無意識のようにぼんやりと、琉威について喋る。
ここにいる全員が夢中になるほど、琉威の羽ばたきは魅力的なものだった。
キレイなフォームに、無駄のない動き。
乱れることも忘れたサラサラの髪が風に靡き、時を忘れさせるほど魅了させられてしまう。
もともと美形で整った顔の琉威。
いつもはどこか優しそうに細められるその目の真剣さが、どれだけ琉威が『走る』という行為が大好きで、大切にしているかを物語っている。
やっぱ速い
やっぱかっこいい
やっぱ悔しい
…やっぱ大好き
「なんだよ、もぅ…」
結局、私はあんたに勝てないじゃないか


