そして、私たちが走る時はやってきた。
「よーい…」
―――――パンッ!!
狩眞先生の声の後に続く、うるさいくらいの、でも心地いいピストル音と、独特の火薬の匂い。
順々に、陸上部の新しい仲間が走っていく。
5人一組のチームで、どんどん走る。
私の番は4番目。
琉威の番は、5番目。
一番最後。 一番後ろの列。
琉威と一緒に走れないのは残念だけど、実力を知らない人と走るのは大好き。
私の実力とみんなの実力と、両方が分かっちゃう。
ドキドキドキドキ
私の胸は緊張とかわくわくとか、いろんなもので溢れて、高鳴る。
後ろに並んでる琉威を振り返ると、
「……」
琉威は地面に右手をついて、固く目をつぶっていた。
知ってる。
琉威は、勝負の前とか、緊張したときとか、集中するときとか、絶対こうして地面に右手をついて、祈るように目をつぶる。
このときは、絶対に声をかけちゃダメ。
だから、感じるんだ。
ほら、感じて?
スタートが近づいてるよ
聞こえる? ピストル音が、ほら、また鳴った。


