話しは戻り、正信に向かうタイムマシンの中。

30分もあれば着く、と言われてから1時間。
どうやら不具合が生じたらしい。

「スタートがこうだと心配だな。」

俵屋が言った。それに風空は頷く。

「思ったより時間が出来たから話そうか?」

それにも風空は頷く。

「今回なぜ君に依頼したかわかるか?」

また風空は頷く。
ただ頷くだけの風空に俵屋は言った。

「なんかしゃべってくれ。
俺は話し上手じゃないんだよ。」

その言葉に風空ははっと目を見開いた。

「はいっ。すみません。
えっと、簡単に言うと年表替わりですよね?
過去に年表なんて持っていってなくしたら困るから。」
「その通りだ。
俺も多少はわかるが細かいことまで覚えてはいないからな。」
その点君は桁違いに覚えている。細かいことも。」
「そんな。ただ私は好きな時代だから覚えただけですよ。」

風空は少し顔を赤くした。
俵屋が笑い声をこぼす。

「こんな危険をおかすほどこの時代が好きなのか?
歴史好きなら、幕末や戦国時代がいいと言うやつの方が多いが。」

すると、風空は目を輝かせて早口で言い始めた。

「私は刀よりも銃の方がかっこいいと思うんです。
それに、子どもたちを守るために命をかけた黒真珠の実行部なんて本当に素敵です。
何より、資料が断然に多いですからね裏話なんて山ほどありますよ。
写真や映像もカラーで沢山ありますし。
それに.....」

風空の話しはとどまるところを知らない。
これで風空に対する印象は決まった。
(この子は...歴史ヲタクだ⁉俺なんか普通の人間だ。)
わかっていたはずだが、俵屋は改めて実感した。
(しかしこの子を選んだやつ、見る目があるな。)
俵屋はそう感心までしていた。