そして、そのときのその覚悟と決意が、結果的に良太郎の背中をも押してくれたのだった。
ちょうど雑誌連載の話をもらったころだった。
同時に、ある企業からも内定を貰った時期でもあった。
自分もまた、自分の道を覚悟を決めて決意する。そんなときを迎えたのだと、そんなふうに思ったのだった。


-やらずに後悔するくらいなら
-やって失敗してから後悔したしようぜ、お互い


聡がそんなエールを送ってくれているような、そんな気がした。
口に出してそれを言ったことはないけれど、だからこそ、良太郎は今でも聡に対して密かに感謝し、尊敬している。
しかし、あの無口の代名詞のようにされていた聡が、ちゃんと客商売なんてことをやっていけるのかという危惧は、僅かだけれど良太郎も抱いた。
それは事実だった。

スイッチが入った状態なら、よく喋っているだろうが、いつでも入っているスイッチではない。
そのスイッチは、何かきっかけで、いつ入るかも判らないスイッチだった。