あまり自分のことを話さない聡の生活は、聡を慕う高校生の良太郎の目にも、ときには奇異なものに映ることがあったが、そのうち良太郎は東京に出てしまい、その間、良太郎と聡は少しばかり疎遠になっていた。
時々、思い出したように、英吾からの電話やメールで、変わらずのアルバイト三昧をしている聡の近状を聞くくらいだった。ところが、である。
三年ほど前、突然、団地内で空き家となっていた古い民家を買い取った聡は『Waoto』(わおと)という変わった名前のカフェを始め、周囲の者を驚かせた。
-良ちゃん。サトルさんが、すっごいオシャレなカフェ始めたよ。
-すっごい、いいお店なんだよ。俺、常連一号になる。
英吾のように、それを掛け値なしに喜び、盛大に応援する者もいた半面、最初のうちはひそひそこそこそと陰口を叩く者も少なくはなかったらしい。
-こんな場所でカフェなんてねえ。
-あんな喋らない子が、客商売なんてできるのかしら。
聡を幼いころから知る者たちの中には、そう言い合う者もいたらしい。本人の耳にも、当然そんな言葉は入っていただろうが、それでも聡は何処吹く風と言うように、変わらず飄々としていたそうだ。
時々、思い出したように、英吾からの電話やメールで、変わらずのアルバイト三昧をしている聡の近状を聞くくらいだった。ところが、である。
三年ほど前、突然、団地内で空き家となっていた古い民家を買い取った聡は『Waoto』(わおと)という変わった名前のカフェを始め、周囲の者を驚かせた。
-良ちゃん。サトルさんが、すっごいオシャレなカフェ始めたよ。
-すっごい、いいお店なんだよ。俺、常連一号になる。
英吾のように、それを掛け値なしに喜び、盛大に応援する者もいた半面、最初のうちはひそひそこそこそと陰口を叩く者も少なくはなかったらしい。
-こんな場所でカフェなんてねえ。
-あんな喋らない子が、客商売なんてできるのかしら。
聡を幼いころから知る者たちの中には、そう言い合う者もいたらしい。本人の耳にも、当然そんな言葉は入っていただろうが、それでも聡は何処吹く風と言うように、変わらず飄々としていたそうだ。


