「処分するより、持っていたほうがいいだろうって。相談に乗ってもらった税理士さんに言われたみたいよ」
「へえ」
「家も古いし、そんなに広い土地でもないでしょ、お祖父ちゃんの家」
「ウチより小さいんだっけ」
「ちょっとね。この辺りは土地の評価額もかなり低いから、相続してもあれくらいの土地だと税金もかからないんですって」
「そういうものなんだ」
「でも、今どこかに土地を買おうとしたら、あのくらいの広さの土地でもかなりかかるでしょ。固定資産税とかが払えそうなら、無理に処分しなくてもいいんじゃないかって、お義兄さんも言ってね。家と土地はお父さんが貰って、預金とかはお義兄さんにってことにしたみたい」
「なるほどねえ」

処分されて人手に渡ってしまったら、それはそれで祖父との思い出までなくなりそうで寂しいなと思っていただけに、良太郎は道代のその言葉が嬉しかった。
良太郎の家と源次郎の家の間にある遊歩道は、車の通らない道ということもあり、近所の子どもたちの格好の遊び場だった。