焼け木杭に火はつくか？

「何してんの？」

いったい、どこから持ってきたのか。
アルバムに貼られていない大量の写真を手にした道代が、それをリビングのテーブルに所狭しと並べ広げていた。

「お祖父ちゃんの遺品をね。片付けてたら、出てきたのよ」

道代は顔も上げずに、そう答えた。

「ほら、お祖父ちゃん。写真が趣味だったでしょ。現像して仕舞ってままになってる写真がたくさん出てきてね。あんたの写真もたくさんあるし、英吾くんや聡くんの写真もあるから、貰ってもらおうと思ってね。少しずつ整理してるのよ」

そう言いながら、道代は写真を一枚一枚確認して、より分けていた。
へえと頷きながら、良太郎はその一枚を手に取り眺めた。

良太郎と英吾、それから背後には何人もの同級生たちが、小学校の体操着姿で写っていた。


運動会のときだな。


たった一枚の写真から懐かしい記憶が脳裏の奥底から浮上するかのように蘇り、良太郎の頬にふわりと笑みが浮かんだ。