「真面目に聞くけど、本当にお願いしても大丈夫なの? 今、連載抱えているでしょう。楽しみに読ませてもらっているわ、あれも」
「ありがとうございます」
小説だけでなく、コラムであれエッセイであれ、夏海は良太郎の作品は全て目を通してくれているありがたい読者だった。
自分が作っている雑誌に紹介記事載せる以上、そんなことは当たり前だと夏海は笑うが、夏海の多忙さは英吾からも聞かされている。そこには、同郷の好という類の好意が過分に含まれているのだろうと、良太郎は思う。
夏海の問いかけにどう答えるか、良太郎は考えた。
受けられない仕事ではない。
けれど、それでも二の足を踏んでしまう躊躇いもあった。
良太郎はそれまでのだらしない姿勢を正し、背筋を伸ばして座り直すと、真面目な顔で夏海と向きあった。
良太郎のその様子を見て、母親はお茶を淹れ直してくると言い残して静かに席を立った。
「書くのはいいんです。仕事はどんどん入れて、増やしたいですし。ただ、英吾が言う読切しかも掌編っていう条件がね。せめて、連載短編ってわけにはいかないですか?」
良太郎の言葉に、夏海は静かに首を横に振った。
「ありがとうございます」
小説だけでなく、コラムであれエッセイであれ、夏海は良太郎の作品は全て目を通してくれているありがたい読者だった。
自分が作っている雑誌に紹介記事載せる以上、そんなことは当たり前だと夏海は笑うが、夏海の多忙さは英吾からも聞かされている。そこには、同郷の好という類の好意が過分に含まれているのだろうと、良太郎は思う。
夏海の問いかけにどう答えるか、良太郎は考えた。
受けられない仕事ではない。
けれど、それでも二の足を踏んでしまう躊躇いもあった。
良太郎はそれまでのだらしない姿勢を正し、背筋を伸ばして座り直すと、真面目な顔で夏海と向きあった。
良太郎のその様子を見て、母親はお茶を淹れ直してくると言い残して静かに席を立った。
「書くのはいいんです。仕事はどんどん入れて、増やしたいですし。ただ、英吾が言う読切しかも掌編っていう条件がね。せめて、連載短編ってわけにはいかないですか?」
良太郎の言葉に、夏海は静かに首を横に振った。


