「どうかしたのかしら? まさか、覚えていないとか?」
頭痛と吐き気で気分も最悪だというのに、記憶だけはしっかりしている自分が、良太郎は恨めしかった。
いっその事、なんの話か覚えていないと知らぬ存ぜぬを押し通して、ここから逃げてしまおうかとまで考えた。
いやいや。
相手はこの夏海さんだ。
絶対無理。
まず無理。
良太郎はそんな自問自答を胸中で繰り返し、呻くしかなかった。
そんな良太郎に、あろうことか母親が止めを刺した。
「大丈夫よ。夏海ちゃん。このボンクラ息子が忘れていても、私が覚えているから。間違いなく、この子、引き受けたわよ。私が証人」
道代の言葉に、夏海は手を叩いて喜び、良太郎は重いため息を吐き出した。
「さすが。おばさん。頼りになります」
「母さん。どこの世界に、息子を陥れようとしている人に、喜んで加担する母親がいるんだよ」
恨めしげな声で道代に抗議する良太郎に、夏海と道代は声を尖らせた。
頭痛と吐き気で気分も最悪だというのに、記憶だけはしっかりしている自分が、良太郎は恨めしかった。
いっその事、なんの話か覚えていないと知らぬ存ぜぬを押し通して、ここから逃げてしまおうかとまで考えた。
いやいや。
相手はこの夏海さんだ。
絶対無理。
まず無理。
良太郎はそんな自問自答を胸中で繰り返し、呻くしかなかった。
そんな良太郎に、あろうことか母親が止めを刺した。
「大丈夫よ。夏海ちゃん。このボンクラ息子が忘れていても、私が覚えているから。間違いなく、この子、引き受けたわよ。私が証人」
道代の言葉に、夏海は手を叩いて喜び、良太郎は重いため息を吐き出した。
「さすが。おばさん。頼りになります」
「母さん。どこの世界に、息子を陥れようとしている人に、喜んで加担する母親がいるんだよ」
恨めしげな声で道代に抗議する良太郎に、夏海と道代は声を尖らせた。


