家も近く、子どものこらから息子の大の親友ということあり、良太郎の両親は、昔から英吾のことを何かと気に掛けてきた。

時には叱り。
時には褒めて。

そうやって、我が子のように英吾のことも可愛がっていた。

英吾の父親が、仕事でどうしても家を空けなければならないときなど、道代は喜んで英吾を預かった。
仕事が立て込み、家事まで手が回らなくなっているようなときなども、英吾を預かることもあった。
英吾が泊まると良太郎は嬉しくなってはしゃぎ回った。それは英吾も同じだった。
小さな怪獣たちは寝る時間になってもしゃぎ回った挙げ句、障子に穴をあけるようなことを毎度仕出かし、そのたびに二人揃って道代に怒られていた。


-おばさん、大変でしょ?


英吾は道代にそう尋ねたことがあるのだと、良太郎に言ったことがあった。
尋ねたのは、中学生になったくらいの頃らしい。

『俺、一人で留守番できるから大丈夫だよ』

そう言う英吾に、息子がもう一人いるみたいで楽しいと言ってくれたんだと言う英吾は、今にも泣き出してしまいそうな顔をしていた。
その言葉は、紛れもなく道代の本心なのだろうと、良太郎は思った。