昼間は二人仲良く揃って、団地まで送迎バスが来る幼稚園に通った。
その頃からずっと『何をするにもいつも一緒』と周りの者たちに言わしめる、仲良しコンビだった。
考えてから動き出す良太郎と、考えるより前に動いてしまう英吾。
性格的には正反対な二人だったのだが、何故か馬があったらしい。
よくケンカもしたけれど、五分もそっぽを向き合っていると一緒に遊べないことが寂しくなり、どちらからともなく「ごめんなさい」を叫びあって、すぐに仲直りしてしまう、そんな二人だった。


片時も大人しくしていられない、元気いっぱいな男の子。


すぐに、幼稚園の先生たちが口を揃えてそう言うようになったほど、英吾はいつも飛び跳ねるようにして、外で元気に遊んでいる子どもだった。
雨の日ですら、レインコートに長靴といういでたちで、外に飛び出していくような子どもだった。
至って健康的な男の子だったけれど、背中には痛々しい火傷の痕があった。
大人になるにつれ、その痕は次第に薄くなってきたが、子どものころは目を引くような傷だった。
元気な反面、周囲が吃驚するほど涙脆く、お人よしと言われるほどに英吾は優しい子どもだった。