「専門学校卒業したら帰ってくるんだろうって思ってたら、今度は大阪で働くって言うし。なんでって聞くと、自分は次女なんだから、家を出なきゃならないのは、本当は自分のほうなんだって。夏海さんが家に戻るまで、こっちには帰らないって言って、もう五年だよ。五年。頑固にもほどがあるじゃん。そりゃ、大阪くらい日帰りでも行けるけどさ、そろそろオレも疲れちゃったよ。もう、大阪引っ越そうかな」
「お前が行くなっ」「そうじゃねーべ」「連れ戻しなさいっ」

一斉の集中砲火に、英吾はひゃーっと悲鳴を上げて頭を抱えた。

「みんなで一度に言わないでよー。オレ、聖徳さんじゃないんだから」

聖徳さんって、どこの人じゃと良太郎はため息交じりの苦笑を漏らしながらも、真面目な口調で英吾に言い聞かせた。

「英吾。いいか。お前がこのまま大阪に行っちまったら、もう終わりだぞ」

いいか、よく聞けよと前置きして良太郎は英吾に言い聞かせた。