西島英吾(にしじまえいご)は、この団地を離れることなく、この地で暮らし続けている幼馴染みだった。
良太郎の実家に空き巣が入ったことを良太郎に知らせてきたのは、英吾だった。

良太郎と並ぶと英吾のほうがやや上背があるが、体重は良太郎のほうがあると思われるくらい細い体型だった。
その細い体のどこにと思うほど体力があり、風邪なども滅多にひいたことがない健康優良児だった。

良太郎の帰郷を知った英吾は、さっそくとばかりに団地に残っていた友人たちに声をかけ、あっという間に飲み会の日程が良太郎のスケジュールに組み込まれた。

集まった友人たちは、変わらず地元で生活していることもあり、比較的よく顔は合わせてはいたが、それでも、皆それぞれに仕事や家庭などの都合もあり、成人式の後に開かれた同窓会以降、皆で集まって飲むような機会がなかなか作れなかったらしい。
英吾の呼びかけに、久しぶりに集まって飲む口実ができたと、友人たちは喜んで顔を出してくれた。