焼け木杭に火はつくか?

聡が夏海と話しをしている間、チャンスとばかりに英吾は皿の上の物を平らげていた。

「で。秋ちゃんの話、続けていい?」

まだ何か考え込んでいる様子の夏海に、英吾は屈託のない明るい声のままそう言葉をかけた。
そんな英吾に、夏海は苦笑を浮かべながらも頷いた。

「とにかく、それでね、秋ちゃんには夏海さんに対して、ちょっと遠慮があったの。自分のせいで、夏海さんは家を出て行っちゃったのかもしれないって、子どものころから思ってるから、普通ならさらっと言ったり聞いたりしちゃえばいいことも、できなかったの」
「もう、あの子ってば、もうっ」
「ねえ。秋ちゃんってば、妙なとこで思い込み激しいから大変だよ」

判る判る、そのイライラはというように、英吾もうんうんと首を縦に振って夏海に頷いた。