「しばき倒されたい? 大体、ビールだ、梅酒だ、そんな甘ちょろいもの、いつまでも呑んでんじゃないわよっ」
「何を飲もうと俺の自由でしょっ」
「こりゃ、おメーの連れだ。帰るっていうなら、連れて帰れ。置いてくなっ」
「ムリッ ウチにゃ連れて行けねーですよ。母上まで狂喜乱舞で跳ね起きてきて、朝までコースの大宴会になっちまいますって。俺、今夜はぐっすり寝たいんですよぉ。勘弁してくれよぉ」
「置いてくような事しやがったら、おメーは当分出禁だ」
「徹夜が何だって言うのよ、情けない」

横暴と不平と愚痴、その他ちょっとの涙と笑いなど、もろもろ。
いろんなものがごちゃ混ぜに入り乱れたその店内は、それでもすぐに酒盛りの様相を呈した。
聡がどこからともなく取り出した、芋焼酎の瓶をカウンターに置く。
その銘に良太郎は笑い転げた。

「サトルくん。チョイスが素晴らしすぎ」
「こりゃ、夏海さんが勝手にウチに置いていってやつだって。こんなん、オイラは客に出さねーよ」