「西島が食べて食べてってあんまりにも煩いから、あるだけ全部目の前で食べ尽くしてやったら、さすがに西島も呆れた顔してた」
あの英吾を呆れさせたのか、そりゃ、すげえなと、聡は楽しそうに肩を揺らした。
聡の茶々など気にも止めず、夏海の言葉は続く。
「一口食べて、長谷の顔が浮かんだわ。あなたのパンだって、判った。ちゃんと夢を叶えたんだって」
かすかに震えている声の夏海の言葉に、長谷の瞳がわずかに揺らぐ。
「うん。ずいぶん時間がかかったけどな」
「弾力があって、柔らかくて、ほどよく粘りもあって。おいしいって思ったわ」
「夏海のその言葉が、1番聞きたかった。ありがとな」
夏海に言葉に嬉しそうな顔をして、長谷は聡と良太郎に手を挙げて『Waoto』を出て行った。
店に静寂が流れる。
夏海だけでなく、聡も良太郎も、口を噤み何も話そうとはしなかった。
「格好つけてんじゃないわよ、バカ」
ややあって、ようやく口を開いた夏海は、ぼそりとそう呟いた。
あの英吾を呆れさせたのか、そりゃ、すげえなと、聡は楽しそうに肩を揺らした。
聡の茶々など気にも止めず、夏海の言葉は続く。
「一口食べて、長谷の顔が浮かんだわ。あなたのパンだって、判った。ちゃんと夢を叶えたんだって」
かすかに震えている声の夏海の言葉に、長谷の瞳がわずかに揺らぐ。
「うん。ずいぶん時間がかかったけどな」
「弾力があって、柔らかくて、ほどよく粘りもあって。おいしいって思ったわ」
「夏海のその言葉が、1番聞きたかった。ありがとな」
夏海に言葉に嬉しそうな顔をして、長谷は聡と良太郎に手を挙げて『Waoto』を出て行った。
店に静寂が流れる。
夏海だけでなく、聡も良太郎も、口を噤み何も話そうとはしなかった。
「格好つけてんじゃないわよ、バカ」
ややあって、ようやく口を開いた夏海は、ぼそりとそう呟いた。


