「だからね、サトルくん。順番間違えたり、すっ飛ばしたりするから、いつもバツだったんだよ。ダメなんだって。順番通りに正しく言うってことが大事なんだから。授業で習うときは」

剥れる聡に、笑いを噛み殺した声で、良太郎はそう聡に言い聞かせた。
その言葉に、聡はもう一つ盛大に鼻を鳴らすだけだった。

「小野さん。お会計、いいかな」

いつの間にか、サラダとパンを食べ終えていた長谷は、唐突に聡にそう声をかけて、静かに立ち上がった。

「梅のジャム。美味しかったよ。酸味があって、さっぱりしてて。夏にいいね」

お会計の言葉を合図に、いつもの営業用の顔に戻った聡がまたカウンターの中で動き出して、長谷のその言葉に嬉しそうに笑った。

「よかった。長谷さんのお墨付き貰ったから、これからいろいろ使ってみよっと。どうもね、良太郎や英吾の舌は当てにならなくてね」

その言葉に良太郎は目を剥いた。