あの日を境に海斗は学校に来なくなった。
病気が原因だと思う。

いつも意地悪でいちいちうるさくて本当最低だったけど、会えないのは嫌だった。


「メーイっ!」
「優香っ。」
「最近元気ないねぇ?」
「そぉかなぁ??」
「原因は海斗君?」
「はぃ!?ありえないっ!!」

ありえないだなんて…海斗が聞いたらぐぢぐぢいうだろーな笑


「ねぇメイ。」
この甘い声は…

「夕陽くん?」
振り向くとやっぱり夕陽くんだった。

「アドレス教えてくんない?」
「あ、うんっ。」



「夕陽くん絶対メイのこと好きだよ〜!」
今の話を聞いていた優香が言ってきた。
「そんなんぢゃないってば!!」

「この前なんてキスしちゃうし…。」


あれは本当になんだったのだろう。今だに疑問だった。

夕陽くんがどんな意図で私にキスをしたのか。

病室での海斗との会話はなんだったのか。


「ねぇ夕陽くん!!今日一緒に帰らない?」

思い切って誘ってみた。聞きたいことがいくつかあったから。


「いーよーっ。」
夕陽くんは笑顔でOKしてくれた。




「ごめんね急に。」
「全然へーき♪」

下校の時間になって、私は約束通り夕陽くんと帰った。

「ねぇ…夕陽くんはなんで私にキスしたりするの!?」

私は単刀直入に聞いた。

疑問だった、ずっと。

私をからかっているのなら、やめてもらいたい。


「言わせたいの?」
「え?」

「メイも腹黒いなぁ。あれ、腹黒いとはちょっと違うかな。まぁいいや。」

「夕陽くん…?」

「ほら、そうやって。いっつもかわいい顔で俺をみる。」



「惚れないわけないだろ。」


惚れないわけ…ない……?




「普通、好きぢゃないヤツにキスしたりしないよ?」




「俺は、メイが好き。」



空は澄んでいるのに、風は寒い。


私の中で何かが壊れようとしていた。