「は?」
海斗がケンカごしになる。

「だーかーらー、何したと思うか聞いてんのっ!」

夕陽は相変わらずニコニコしていた。

「そんなんしらねぇよ!!」

海斗が怒鳴った…。


あんなに青くて澄んでた空が一気にどよーんと曇る。

「あ、雨!」

みんなが窓に注目した。

ポタポタと水滴が窓につく。



「俺、帰る。」

そう言って海斗が教室を出た。


…海斗?


私は海斗の後を追った。

傘を持って。



「海斗ーっ!!」

下駄箱のところでやっと追いついた。


「海斗!!」

海斗は振り向こうとしない。

「ねぇどうしたの!?」



「なんできづかねぇの?」

海斗が静かに言った。


「…何が?」

「いーよ、もう。」

そう言って海斗は雨の中、傘をささずに走り去った。



あ、傘。

もう遅かった。


そう…

気付いたときには
もう…



遅い。