純血のヴァンパイア

『あなたは―――』

男の次に発する言葉に、否応なく期待してしまう。

1秒にも満たない時間のはずが、数分にも感じる。

ゴクリ―――

音を立てて、唾が喉を通っていく。


『あなたは、優月様にとって監視対象でしかない。』

監視対象、なぜ?・・・僕の記憶が消せないから?


『その通り。だから仕方なく、友人の振りをしてあなたに近づいただけ。勘違いしてはいけませんよ。』

コイツ、僕の考えている事が分かるのか?

「か、監視対象だとしても、僕は―――」

優月を信じたい。

『あなたは、ご存じのはずだ。優月様がヴァンパイア界の王の娘であり次期当主だと言う事を。』

王の娘?次期当主?

『次期当主と言う事が、どういうことかお分かりですか?』

思考が追いつかないまま、男はどんどん話を進めて行く。